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ポストクロッシング初心者

ポストクロッシングに関する分析記事まとめ

ポストクロッシングに関するデータ分析の記事をまとめてみた。

どの記事も長いので、分析に興味がない方は冒頭の目次から考察やまとめに飛んで結果だけでOK。

 

 

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ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(3)~リアクションの要因

結果だけ知りたい方は、考察またはまとめからどうぞ。

 

0 はじめに

 コンピュータでランダムに選ばれた海外の相手にポストカードを送ることができるサービスが、ポストクロッシングである。このポストクロッシングで、私は受取人の母国語で書いて送っている。翻訳ツールを使わずに、文法書、会話帳や辞書を使って書いている。翻訳ツールを使わない理由は、各言語の文法規則を知りたいからである。翻訳ツールの精度が上がって驚かれなくなるまではポストクロッシングを続ける予定でいる。

 ポストクロッシングを始めて2年以上が経過してサンプル数も溜まってきたこともあり、これまでの記録を分析してみることにした。

 

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ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(1)~基礎集計 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(2)~リアクション率の推移 - 言語マニア系ポストクロッサー

 

 

ロジスティック回帰分析~何が要因でその反応が得られるのか~

1 目的

 受取人の母国語でハガキを送ると、喜ばれたり、感謝されたり、感動されたり、驚かれたり、様々な反応の返信が得られる。どのような要因でリアクションが得られるのか。リアクションが得やすい要因を推定することを目的とする。

 

2 方法

 2023年3月から2025年7月までに日本から海外へ発送したサンプル数277のデータを用いた。英語および日本語で書いた葉書は除いた。受取人からの返信の際に、言語について何らかの反応があったものをリアクションがあった、反応があったとする。リアクションは、記載した言語に関するコメントのみをカウントした。ポストカードや文章の内容に関するコメントはカウントしていない。

 これらのデータを用いて、リアクションが得られやすい要因を特定するために、ロジスティック回帰分析を用いた。ロジスティック回帰分析は、「反応あり」か「反応なし」といった二値変数の結果の要因を予測する分析手法である。要因となる変数を説明変数、結果の変数を目的変数と言う。目的変数をリアクションの種類ごとに「感謝あり1」「感謝なし0」、「感動感銘あり1」「感動感銘なし0」、「驚きあり1」「驚きなし0」、「喜びあり1」「喜びなし0」とし、説明変数を「翻訳ツールなし」「他国からの移住者」「公用語以外の言語」「ラテン文字」「キリル文字」「ブラーフミー系文字」「漢字」「ハングル」とした。

 説明変数間に強い相関があると、分析を実行する上で問題が生じる。そのため、強い相関がある変数を除いて分析を実行しなければならない。各説明変数間の相関だけでなく、ひとつの説明変数と残りの全部の変数の間の相関も調べることができる分散拡大要因と呼ばれる指標で確認した。

 得られた分析結果から、リアクションが得られる要因となる説明変数を特定した。

 

3 結果

3.1 基礎集計

 用いたデータの内訳を表1に示す。

 

表1 言語別リアクション数および同じ言語による返信数とその割合

 

3.2 多重共線性の確認

 分析実行にあたって、説明変数「ハングル」のサンプルサイズが少なく、係数が計算されなかった。そのため、以降は全て説明変数「ハングル」を除いた。 

変数「ハングル」を除き、説明変数における多重共線性の指標であるVIF(分散拡大要因)の計算結果を表2に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表2 説明変数「驚きの反応」におけるVIF(分散拡大要因)の計算結果

公用語以外の言語        他国からの移住者          翻訳ツールなし
2.444102 2.463389 1.148399
`01_ラテン文字` `04_漢字` `02_キリル文字` 6.373938 3.152257 3.195094
`03_ブラーフミ―系文字` 4.050192

 

表3 説明変数「感動感銘の反応」におけるVIF(分散拡大要因)の計算結果

公用語以外の言語        他国からの移住者          翻訳ツールなし 
  2.227367                2.230273                1.125812

`01_ラテン文字` `04_漢字` `02_キリル文字` 7.883568 3.469267 3.604794
`03_ブラーフミ―系文字` 4.691203

 

表4 説明変数「感謝の反応」におけるVIF(分散拡大要因)の計算結果

公用語以外の言語        他国からの移住者          翻訳ツールなし 
2.272991                2.198991                1.132506 
`04_漢字` `02_キリル文字` `03_ブラーフミ―系文字` 1.012756 1.094779 1.050437

 

 

表5 説明変数「喜びの反応」におけるVIF(分散拡大要因)の計算結果

公用語以外の言語        他国からの移住者          翻訳ツールなし 
1.671256                1.683928                1.066627 

`01_ラテン文字` `04_漢字` `02_キリル文字` 8.809949 3.026731 3.863300
`03_ブラーフミ―系文字` 6.538540

 

 表2、表3および表5の通り、全ての説明変数が10以下で、強い相関のある変数はなかった。したがって、分析を実行する際に削除する必要がある説明変数はなく、「ハングル」以外の全ての説明変数を用いて実行した。

表4については、「ラテン文字」が10以上だったので、説明変数から除いた。

 

 

3.3 ロジスティック回帰分析実行結果

3.3.1  驚きの反応が得られる要因

驚きの反応を目的変数としたロジスティック回帰分析の実行結果を表6に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表6 説明変数「驚きの反応」におけるロジスティック回帰分析実行結果

Coefficients:
                        Estimate Std. Error z value Pr(>|z|)   
(Intercept)           -0.6931     0.8660  -0.800  0.42349   
公用語以外の言語          0.3148     0.6893   0.457  0.64787   
他国からの移住者          0.9806     0.8279   1.185  0.23620   
翻訳ツールなし            2.2618     0.7276   3.109  0.00188 **
`01_ラテン文字`          -1.3826     0.8991  -1.538  0.12410   
`04_漢字`               -1.5322     1.0300  -1.487  0.13689   
`02_キリル文字`          -1.3479     1.0596  -1.272  0.20334   
`03_ブラーフミ―系文字`    -0.5323     0.9791  -0.544  0.58670  

 

P値は、目的変数に影響を与えているかを判断するための指標である。一般的に、P値が0.05より小さい場合は統計的に差があると言える。「翻訳ツールなし」のP値が0.05以下となり、「翻訳ツールなし」が統計的に差がある変数となった。

 

 各説明変数とオッズ比と対応する信頼区間の計算結果を表7に示す。また、表7のグラフを図1に示す。

 

表7 説明変数「驚きの反応」におけるオッズ比推定値

説明変数 オッズ比 信頼区間下限 信頼区間上限
(Intercept) 0.500 0.5000000 0.06930964  
公用語以外の言語 1.370 1.3699971 0.31545083  
他国からの移住者 2.666 2.6661357 0.53540994  
翻訳ツールなし 9.600 9.6002138 2.33729541  
`01_ラテン文字` 0.251 0.2509196 0.04572817  
`04_漢字` 0.216 0.2160655 0.02870821  
`02_キリル文字` 0.260 0.2597889 0.03238489  
`03_ブラーフミ―系文字` 0.587 0.5872557 0.08971431  

 

 

図1 説明変数のオッズ比と対応する信頼区間

 

 オッズ比から、説明変数がどの程度目的変数に影響を与えるかがわかる。オッズとは、ある事象が起こる確率と起こらない確率の比である。また、オッズ比は、未着が発生するオッズが、特定の条件を持つ群と持たない群でどの程度異なるかをあらわす指標である。さらに、95%信頼区間とは、集団から無作為にひとつ選んだ時、95%の確率でその値になる区間のことである。95%信頼区間下限と95%信頼区間上限で信頼区間が1を跨がない場合に、統計的に有意な差があると言える。

 表7の計算結果では、1より大きいオッズ比は「翻訳ツールなし」、1より小さいオッズ比は「ラテン文字」「キリル文字」「漢字」「ブラーフミー系文字」であった。

 図1では、信頼区間が1を跨がない変数が視覚的にわかりやすいように、オッズ比1の位置に赤線を入れた。赤線を跨いでいない変数が有意な差がある変数となる。

 

 

 

3.3.2  感動や感銘の反応が得られる要因

感動や感銘を目的変数としたロジスティック回帰分析の実行結果を表8に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表8 説明変数「感動感銘の反応」におけるロジスティック回帰分析実行結果

Coefficients:
                          Estimate Std. Error z value Pr(>|z|)  
(Intercept)             -7.693e-15  8.165e-01   0.000   1.0000  
公用語以外の言語          -2.089e-01  5.979e-01  -0.349   0.7268  
他国からの移住者           1.601e+00  7.527e-01   2.128   0.0334 *
翻訳ツールなし             1.028e+00  7.069e-01   1.454   0.1460  
`01_ラテン文字`          -9.766e-01  8.348e-01  -1.170   0.2421  
`04_漢字`               -1.888e+00  9.566e-01  -1.973   0.0485 *
`02_キリル文字`          -1.529e+00  9.728e-01  -1.572   0.1159  
`03_ブラーフミ―系文字`    -6.213e-02  9.069e-01  -0.069   0.9454  

 

「他国からの移住者」および「漢字」のP値が0.05以下となり、これらが統計的に差がある変数となった。

 


 各説明変数とオッズ比と対応する信頼区間の計算結果を表9に示す。また、表9のグラフを図2に示す。

 

表9 説明変数「感動感銘の反応」におけるオッズ比推定値

説明変数 オッズ比 信頼区間下限 信頼区間上限
(Intercept) 1.000 1.0000000 0.18507173  
公用語以外の言語 0.811 0.8114924 0.22564614  
他国からの移住者 4.960 4.9596957  1.19119832  
翻訳ツールなし 2.795 2.7947404 0.67917217  
`01_ラテン文字` 0.377  0.3765755 0.06754888  
`04_漢字` 0.151 0.1514242 0.02132796  
`02_キリル文字` 0.217 0.2166455  0.02973110  
`03_ブラーフミ―系文字` 0.940 0.9397567 0.14874477  

 

図2 説明変数のオッズ比と対応する信頼区間

 

 

 表9の計算結果では、1より大きいオッズ比は「他国からの移住者」、1より小さいオッズ比は「ラテン文字」「キリル文字」「漢字」「ブラーフミー系文字」であった。

 

 

 

 

3.3.3  感謝の反応が得られる要因

感謝を目的変数としたロジスティック回帰分析の実行結果を表10に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表10 説明変数「感謝の反応」におけるロジスティック回帰分析実行結果

Coefficients:
                         Estimate Std. Error z value Pr(>|z|)    
(Intercept)            -1.466854   0.194330  -7.548 4.41e-14 ***
公用語以外の言語           0.001596   0.644669   0.002 0.998025    
他国からの移住者           1.211393   0.777933   1.557 0.119425    
翻訳ツールなし             0.599448   0.779035   0.769 0.441611    
`04_漢字`               -2.147221   1.036909  -2.071 0.038378 *  
`02_キリル文字`           0.817465   0.479582   1.705 0.088281 .  
`03_ブラーフミ―系文字`     1.572477   0.436513   3.602 0.000315 ***


 

「漢字」および「ブラーフミー系文字」のP値が0.05以下となり、これらが統計的に差がある変数となった。

 


 各説明変数とオッズ比と対応する信頼区間の計算結果を表11に示す。また、表11のグラフを図3に示す。

 

表11 説明変数「感謝の反応」におけるオッズ比推定値

説明変数 オッズ比 信頼区間下限 信頼区間上限
(Intercept) 0.231 0.2306499 0.155146848  
公用語以外の言語 1.002  1.0015969 0.247769728  
他国からの移住者 3.358 3.3581582 0.755811285  
翻訳ツールなし 1.821 1.8211135  0.341698921  
`04_漢字` 0.117 0.1168084 0.006428936  
`02_キリル文字` 2.265  2.2647517 0.856476475  
`03_ブラーフミ―系文字` 4.819 4.8185687 2.054437021  

 

 

図3 説明変数のオッズ比と対応する信頼区間

 

 表11の計算結果では、1より大きいオッズ比は「ブラーフミー系文字」、1より小さいオッズ比は「漢字」であった。

 

 

 

3.3.4  喜びの反応が得られる要因

喜びを目的変数としたロジスティック回帰分析の実行結果を表12に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表12 説明変数「喜びの反応」におけるロジスティック回帰分析実行結果

Coefficients:
                        Estimate Std. Error z value Pr(>|z|)    
(Intercept)              -1.6094     1.0954  -1.469 0.141776    
公用語以外の言語            1.9831     0.5971   3.321 0.000896 ***
他国からの移住者           -1.8399     0.8918  -2.063 0.039091 *  
翻訳ツールなし              1.6247     0.7613   2.134 0.032832 *  
`01_ラテン文字`           -0.7437     1.1292  -0.659 0.510144    
`04_漢字`                -1.2365     1.3219  -0.935 0.349550    
`02_キリル文字`           -0.3737     1.2722  -0.294 0.768939    
`03_ブラーフミ―系文字`      0.9001     1.1720   0.768 0.442500    

 

公用語以外の言語」、「他国からの移住者」および「翻訳ツールなし」のP値が0.05以下となり、これらが統計的に差がある変数となった。

 


 各説明変数とオッズ比と対応する信頼区間の計算結果を表13に示す。また、表13のグラフを図4に示す。

 

表13 説明変数「喜びの反応」におけるオッズ比推定値

説明変数 オッズ比 信頼区間下限 信頼区間上限
(Intercept) 0.200 0.2000000 0.01043892  
公用語以外の言語 7.265 7.2652843 2.20145236  
他国からの移住者 0.159 0.1588255 0.02437605  
翻訳ツールなし 5.077 5.0768034 1.07755555  
`01_ラテン文字` 0.475  0.4753592 0.07015720  
`04_漢字` 0.290 0.2903855 0.02276016  
`02_キリル文字` 0.688  0.6881710 0.06653959  
`03_ブラーフミ―系文字` 2.460 2.4597507 0.32542873  

 

図4 説明変数のオッズ比と対応する信頼区間

 

 表13の計算結果では、1より大きいオッズ比は「公用語以外の言語」および「翻訳ツールなし」、1より小さいオッズ比は「他国からの移住者」「ラテン文字」「キリル文字」および「漢字」であった。

 

 

4. 考察

 ロジスティック回帰分析を用いて、説明変数「翻訳ツールなし」「他国からの移住者」「公用語以外の言語」「ラテン文字」「キリル文字」「ブラーフミー系文字」「漢字」と、目的変数「驚き」「感動や感銘」「感謝」「喜び」におけるそれぞれの反応の間の関係を分析した。

 

 驚きの反応において、p値、信頼区間、共に有意な差が得られた説明変数は、「翻訳ツールなし」だった。

オッズ比が1より大きい場合は事象に対して促進方向に作用し事象が起こりやすく、1より小さい場合は抑制方向に作用し事象が起こりにくくなる。つまり、オッズ比が1より大きかった「翻訳ツールなし」は驚きの反応が起こりやすい変数となる。

これらのことから、翻訳ツールがない言語でポストカードを送ると、驚いてもらいやすい傾向があることがわかった。

 

 感動や感銘の反応において、p値、信頼区間、共に有意な差が得られた説明変数は、「他国からの移住者」および「漢字」であった。

オッズ比が1より大きかった「他国からの移住者」は、感動や感銘の反応が起こりやすい変数で、逆に、オッズ比が1より小さかった「漢字」は感動や感銘の反応が起こりにくい変数となる。

したがって、居住地の出身ではなく他国から移住してきた人宛に、その人の母国語でポストカードを送ると、感動や感銘を受けてもらいやすい傾向があり、漢字の言語(中国語)では感動や感銘は起こりにくい傾向があることがわかった。

 

 感謝の反応において、p値、信頼区間、共に有意な差が得られた説明変数は、「ブラーフミー系文字」および「漢字」だった。

オッズ比が1より大きかった「ブラーフミー系文字」は、感謝の反応が起こりやすい変数で、逆に、オッズ比が1より小さかった「漢字」は感謝の反応が起こりにくい変数となる。

したがって、ブラーフミー系文字の言語でポストカードを送ると、感謝してもらいやすい傾向があり、中国語で送っても感謝してもらいにくい傾向があることがわかった。

 

 喜びの反応において、p値、信頼区間、共に有意な差が得られた説明変数は、「翻訳ツールなし」および「公用語以外の言語」であった。したがって、翻訳ツールがない言語または公用語以外の言語でポストカードを送ると、喜んでもらいやすい傾向があることがわかった。

 

 

 翻訳ツールがない言語で書くと、驚いてもらえる傾向にあり、喜んでもらえる傾向もあることが分析により得られた。

また、文字の読み書きのハードルが高いブラーフミー系文字の言語(東南アジア、インドを中心とした南アジアの言語)で書くと、感謝される傾向にあることもわかった。

さらに、相手の居住国の公用語以外の言語で書くと、喜んでもらえる傾向にあり、出身国でなく他国に住む人に母国語で書くと、感動される傾向にあることがわかった。

一方、日本人が漢字である中国語で書いた場合、感動が得られない傾向にあり、また感謝も得られない傾向にあることがわかった。

 

 

5. まとめ

 分析の結果、それぞれの反応が得られやすい傾向、得られにくい傾向にある要因は、以下のようになった。

 

表14 各リアクションが起こりやすい傾向・起こりにくい傾向の要因

リアクションの種類 起こりやすい傾向 起こりにくい傾向
驚き 翻訳ツールなし 該当なし
感動や感銘 他国から移住してきた人 中国語
感謝 ブラーフミ―系文字の言語 中国語
喜び 翻訳ツールなし、公用語以外の言語 該当なし

 

 

 ポストクロッシングで相手の母国語で書いた場合、ラテン文字キリル文字および漢字以外の、読み書きの難易度が高い言語は感謝される傾向にある。一方で、漢字を使う中国語は日本人にとって難易度が低く、感謝は得られにくい傾向にある。

 

 翻訳ツールがない言語は驚かれる傾向にあるため、相手を驚かせたいなら、マイナー言語や方言などの翻訳ツールがない言葉を書くといいと言えよう。

 

 

ーーー

 

というわけで、英語以外の言語で書いて相手の返信を楽しむなら、個人的なお勧めは以下の3つです。

  1. ラテン文字キリル文字、漢字以外の言語の話者には、その人の母国語で書く。
  2. ドイツに送る機会は非常に多いので、挨拶や簡単な文章だけでも方言をネットで調べて書く。
  3. ドイツ語が少しわかるなら、翻訳ツールがないスイスドイツ語に挑戦して書いてみる。(スイスドイツ語の文献のリンクを載せた記事:スイスドイツ語(アレマン方言) - 言語マニア系ポストクロッサー

 

 

もしよかったら、挑戦してみて下さい。

 



ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(2)~リアクション率の推移

 

0 はじめに

 コンピュータでランダムに選ばれた海外の相手にポストカードを送ることができるサービスが、ポストクロッシングである。このポストクロッシングで、私は受取人の母国語で書いて送っている。翻訳ツールを使わずに、文法書、会話帳や辞書を使って書いている。翻訳ツールを使わない理由は、各言語の文法規則を知りたいからである。翻訳ツールの精度が上がって驚かれなくなるまではポストクロッシングを続ける予定でいる。

 ポストクロッシングを始めて2年以上が経過してサンプル数も溜まってきたこともあり、これまでの記録を分析してみることにした。

 

これまでの言語サプライズに関する分析の記事

ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(1)~基礎集計 - 言語マニア系ポストクロッサー

 

 

1 リアクション率の推移

 2023年3月から2025年7月までに日本から海外へ発送したサンプル数277のデータを用いた。英語および日本語で書いた葉書は除いた。受取人からの返信の際に、言語について何らかの反応があったものをリアクションがあった、反応があったとする。リアクションは、記載した言語に関するコメントのみをカウントした。ポストカードや文章の内容に関するコメントはカウントしていない。

 

1.1 驚きのリアクション率の推移

 ポストクロッシングで受取人の母国語でポストカードを書いた時に驚かれた割合を月別に集計した。その結果を図1に占めす。

 

図1 受取人の驚きのリアクション率の推移

 

 翻訳ツールの翻訳精度が向上するにつれて、自力で書いたか、ツールを使ったかの判断がしにくくなると考えていた。そのため、年月が経過するにつれて、驚かれなくなるだろうと予想していた。しかし、図1から驚きの変化はあまり変わっていないことがわかる。

 

1.2 学習環境区分別驚きのリアクション率の推移

 ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(1)の記事では、各言語を学習環境状況でクラスター分析にてグループ分けした。そこで得た学習環境グループごとにおける驚きのリアクション率を図2に示す。

 

 

図2 学習環境別受取人の驚きのリアクション率の推移

 

 日本語文献はあるが辞書がない言語においては、驚きの反応の割合がやや増加傾向にあった。それ以外の言語については、特に変化はなかった。

 日本語文献(日本語による文法書)があって辞書がない言語は、時制を自由に扱え、受動態、関係詞や複文などある程度の文法を使って書けるものの、単語は一般的なものに限られてしまう。それでもある程度書き慣れてきて、文章がやや上達したからではないかと推測している。

 

 

2 まとめ

 翻訳ツールの精度が上がっても、初学者が自力で書いた文章と機械翻訳の違いは、現在のところはまだ判別できるようである。

実際、私も日本語でハガキを受け取る機会があるが、相手が自力で書いたか翻訳ツールを使ったかは判別できる。外国人が書いた日本語が自力かツールか区別がつく状態なら、まだまだこちらも受取人の母国語でハガキを書くドッキリは続けられそうだ。

 

 

 

 次の記事では、相手の母国語でハガキを送った時に、返信で反応が得られる要因を分析する。

 

ポスクロにおける言語サプライズに関する分析(1)~基礎集計

 

 

 

0 はじめに

 コンピュータでランダムに選ばれた海外の相手にポストカードを送ることができるサービスが、ポストクロッシングである。このポストクロッシングで、私は受取人の母国語で書いて送っている。翻訳ツールを使わずに、文法書、会話帳や辞書を使って書いている。翻訳ツールを使わない理由は、各言語の文法規則を知りたいからである。翻訳ツールの精度が上がって驚かれなくなるまではポストクロッシングを続ける予定でいる。

 ポストクロッシングを始めて2年以上が経過してサンプル数も溜まってきたこともあり、これまでの記録を分析してみることにした。

 

1 基礎集計

2023年3月から2025年7月までに日本から海外へ発送したサンプル数277のデータを用いた。英語および日本語で書いた葉書は除いた。

 

1.1 言語別リアクション率

  受取人からの返信の際に、言語について何らかの反応があったものをリアクションがあった、反応があったとする。

 発送した言語別に、受取人のリアクションおよび同じ言語による返信の結果を表1に示す。同じ言語による返信とは、例えばドイツ語で発送した葉書に対するレジスト時の返信(コメント)が、同じドイツ語で返ってきた場合である。

 リアクションは、記載した言語に関するコメントのみをカウントした。ポストカードや文章の内容に関するコメントはカウントしていない。

 

表1 言語別リアクション数および同じ言語による返信数とその割合

 

1.2 翻訳ツール有無別リアクション率

 翻訳ツールの有無別に、返信で反応が得られた割合を図1に示す。

 

図1 翻訳ツール有無別受取人のリアクション率

 

翻訳ツールがある言語では、受取人から何らかの反応がある割合は58.3%であった。一方、翻訳ツールがない言語では90.0%と高い反応が得られた。

 翻訳ツールがない言語であれば、何らかの反応がほぼ得られるが、翻訳ツールがある言語であっても、受取人の半数は何らかの反応をしてくれることがわかる。

 

2 各言語における学習環境のグループ分け

2.1 クラスター分析

 リアクションに関する集計をおこなうにあたって、言語数が多いためグループ分けして集計をする。日本からドイツ語やフランス語で送られたハガキと、マイナー言語で送られたハガキでは、当然リアクションが違う。

各言語のメジャー度、マイナー度を日本における学習環境でグループごとに区分する。学習環境が整っていれば、その言語でハガキを送る日本人が多く、その逆は少なくなるからだ。

 各言語における学習環境の分類を行うために、パーセンテージ類似度を使用し、ウォード法により階層型クラスター分析を実行した。

 パーセンテージ類似度の計算には、クラスター分析でよく使われ、かつ変数に相関があることからユークリッド平方距離を用いた。また、クラスター分析でよく使われるウォード法を用いた。分析に用いた変数は、「テレビラジオ番組」「日本語文献」「英語文献」「日本語英語以外の言語の文献のみ」「翻訳ルーツなし」「大学全学部履修可(全学部で履修が可能)」「文献入手困難」「辞書入手可」「一般向け語学講座」 である。

 クラスター分析結果から作成したデンドログラムを5つのグループに分けて図2に示す。

 

図2 パーセンテージ類似度・ウォード法によるクラスター分析のデンドログラム

 

 

各グループは、以下のように分類された。

グループ1

アイスランド語   ウクライナ語 エストニア語 カタロニア語    スロバキア語 スロベニア語  スワヒリ語 セルビア語 タミル語 デンマーク語   ブルガリア   ベラルーシ語 ベンガル語 マラーティー語  リトアニア語 古英語

グループ2

アイルランド語 アッサム語  オリヤ語 ガリシア語 カウルマ語 グジャラート語 カンナダ語  ナワトル語 パンジャービ―語 ピエモンテ語 フラマン語 フリジア語 マラヤーラム語

グループ3

イタリア語 スペイン語 ドイツ語 フランス語 ポルトガル語  ロシア語 韓国語 中国語 中国語繁体字 

グループ4

インドネシア語 オラン ダ語 チェコ語 ギリシャ語 サンスクリット語 シンハラ語   スウェーデン語   タイ語  タガログ語   トルコ語 ノルウェー語 フィンランド語 ポーランド語 マレー語  ラテン語 ルーマニア語

グループ5

スイスドイツ語 東フリジア語 ドイツ語バイエルン方言 ドイツ語ラインラント方言 

 

                     

2.2 判別分析の結果

 ここでは、クラスター分析によってグループ分けされた各グループが、どの変数が寄与して、どのような条件で得られたのかを正準判別分析により探し出すことになる。

 変数「テレビラジオ番組」「英語文献」「翻訳ルーツなし」「文献入手困難」は、「特徴量」ではなく「グループを表す定数」になっていたため、判別分析から除外した。正準判別分析の結果を表2から表5および図3に示す。

スマホを縦にすると表がズレます。

 

表2 グループの事前確率 Prior probabilities of groups:
--------------------------------------------------------
         1 2 3 4 5  
--------------------------------------------------------
0.27586207 0.22413793 0.15517241 0.27586207 0.06896552  
--------------------------------------------------------


表3 各グループにおける説明変数の平均値 Group means:
------------------------------------------------------------------------------ G番号 日本語文献 日本語英語以外の文献のみ 大学全学部履修可 辞書入手可 一般向け語学講座
------------------------------------------------------------------------------
1 1.0000000 0.0 0.0000000   0.0000    0.0000 2 0.4615385 0.0 0.0000000 0.0000 0.0000 3 1.0000000 0.0 0.7777778 1.0000 1.0000 4 1.0000000 0.0 0.0000000 0.5625 0.9375 5 0.0000000 0.5 0.0000000 0.0000 0.0000
------------------------------------------------------------------------------


表4 判別関数(正準変量)の係数 Coefficients of linear discriminants:
---------------------------------------------------------------------------
                             LD1 LD2 LD3 LD4
---------------------------------------------------------------------------
日本語文献                 0.6558449 -1.5501389 2.72953024 -2.47413890
日本語英語以外の文献のみ -0.4161628 1.9077521 -4.02352019 -5.74443867
大学全学部履修可         1.3831972 4.8954058 2.34307326 -0.11555821
辞書入手可              1.9244630 0.5573625 -0.06389636 0.09043666
一般向け語学講座           6.9761869 -1.5754021 -2.14282332 0.47228054
---------------------------------------------------------------------------


表5 寄与率 Proportion of trace:
------------------------------- LD1 LD2 LD3 LD4 -------------------------------
0.8350 0.0846 0.0683 0.0121
-------------------------------

 

 

図3 学習環境における正準変量の値と各グループの重心

 

 

2.3 各グループの特徴

表5より、第1正準変量の寄与率が83.50%、第2正準変量の寄与率が8.46%であることから、このふたつの正準変量を考察の対象とする。

 表4から、第1正準変量の値が大きい説明変数は順に、「一般向け語学講座」、「辞書入手可」とわかる。また、第2正準変量についても、値が大きい順に、「大学全学部履修可」、「日本語英語以外の文献のみ」となっている。これらが意味のある説明変数であり、分類に寄与していると言える。

 図2から、第1正準変量の値が大きいグループは、グループ3と読み取れる。また、表3からグループ3は「大学全学部履修可」と「辞書入手可」の平均値が高いことから、このふたつの説明変数が第1正準変量に対して影響力が強いと言える。つまり、大学全学部で第2外国語として履修しやすいことと、辞書が入手しやすいことが、学習環境におけるグループの分類に影響を与えた変数となる。大学で学部問わずに履修できる言語はテレビラジオで視聴できる言語と一致するため、大学で履修できる環境になくても(なかったとしても)テレビラジオによる視聴のしやすさも学習環境におけるグループの影響力が強いと言えよう。

 これらのことを踏まえて、各グループの傾向を図2および表3から読み取った結果は、以下のようになった。

 

学習難易度1 日本語文献あり、辞書入手可、一般向け講座あり、大学履修可

イタリア語 スペイン語 ドイツ語 フランス語 ポルトガル語  ロシア語 韓国語 中国語 中国語繁体字 

学習難易度2 日本語文献あり、辞書入手可、一般向け講座あり

インドネシア語 オラン ダ語 チェコ語 ギリシャ語 サンスクリット語 シンハラ語   スウェーデン語   タイ語  タガログ語   トルコ語 ノルウェー語 フィンランド語 ポーランド語 マレー語  ラテン語 ルーマニア語

学習難易度3 日本語文献あり、辞書入手困難

アイスランド語   ウクライナ語 エストニア語 カタロニア語    スロバキア語 スロベニア語  スワヒリ語 セルビア語 タミル語 デンマーク語   ブルガリア   ベラルーシ語 ベンガル語 マラーティー語  リトアニア語 古英語

学習難易度4 英語文献あり、日本語文献なしor困難、辞書入手困難

アイルランド語 アッサム語  オリヤ語 ガリシア語 カウルマ語 グジャラート語 カンナダ語  ナワトル語 パンジャービ―語 ピエモンテ語 フラマン語 フリジア語 マラヤーラム語

学習難易度5 日本語英語以外の言語での文献のみ、辞書入手困難orなし

 スイスドイツ語 東フリジア語 ドイツ語バイエルン方言 ドイツ語ラインラント方言 

 

 

3 学習環境区分別リアクション率

3.1 学習環境区分別リアクション率

 2章で得られたクラスター分析による学習環境区分を元に、ポストカードに記載した言語における学習環境区分別受取人のリアクション率を図4に示す。

 

図4 ポストカードの記載言語における学習環境別受取人のリアクション率

 学習環境が整っていない言語ほどリアクション率が高い傾向にあり、学習環境が極めて良好な言語は特にリアクションが低い傾向にあった。日本語文献(文法書)があっても辞書が入手困難の言語は、学習者が少ないせいかリアクション率が80%以上と高かった。日本語文献(文法書)がない言語については、極めてリアクション率が高い結果となった。

 

 

3.2 学習環境別感動・感銘率

 ポストカードに記載した言語における学習環境区分別に感動感銘の割合を図5に示す。

 

図5 ポストカードへの記載言語における学習環境別感動感銘率

 

 学習環境が整っていない言語ほど感動や感銘が多い傾向にある。日本語文献がなく、英語文献しかない言語で書いたハガキが、もっとも感動や感銘を受けていた。もっとも学習が困難である、日本語でも英語でも文献がない言語については、英語文献がある言語に比べて、やや感動や感銘が低くなった。文献が少ないが故に簡単な短文や定型文で書き、さらに文章量が少なかったせいかもしれない。

 

 

3.3 学習環境別驚きの割合

 ポストカードに記載した言語における学習環境区分別に驚きに対する反応の割合を図6に示す。

 

図6 ポストカードへの記載言語における学習環境別驚きに対する反応率

 

 学習環境が整っていない言語ほど驚く傾向にあり、学習環境が極めて良好な言語ほど驚かない傾向にあった。学習しやすい言語、もしくは多くの外国人が学ぶ言語の話者は母国語でハガキを受け取る機会が多く、文献や文法書が少ない言語の話者ほど母国語で受け取る機会が少ないことが推測される。

 

 

3.4 学習環境別返信の言語

 ポストカードに記載した言語における学習環境区分別に、受取人からの返信の言語の割合を図7に示す。英語による返信と、こちらが記載した言語と同じ言語の返信、それぞれの割合を集計した。

 

図7 ポストカードへの記載言語における学習環境区分別返信の言語の比率

 

 学習環境が良好な言語ほど、同じ言語による返信の割合が高かった。参考にすべき文法書が少なく、辞書がない、またはミニ辞書しかなく使用する単語が少ない言語ほど、簡単な短文しか書けなくなる。簡単な文章しか書けない言語ほど、英語による返信が高くなる傾向にあった。

 

 

 

3.5 学習環境ごとにおけるリアクション種類別リアクション率

 学習環境区分ごとに、リアクションの種類別に反応の割合を集計した結果を図8に示す。

 

図8 学習環境ごとにおけるリアクション種類別リアクション率

 

 文法書や辞書が容易に入手できるような学習環境が良好な言語のグループでは、感動や感銘の反応の割合がもっとも高かった。日本語文献(文法書)はあるが、辞書が入手困難の言語のグループでは、感謝の割合がもっとも高かった。日本語文献がなく、英語文献のみの言語のグループでは、感謝、感動、感銘の割合が多かった。日本語および英語以外の文献しかない言語のグループでは、喜びと驚きの割合が高かった。

 辞書や文法書が充実している言語は、それなりの文章が書けることから、感動や感銘の割合が高いと考えられる。

 文法書があっても辞書がなく限られた単語しか使えない言語は、簡単な文章のため感動を与えるほどの語彙力はないが、つたない文章から努力が垣間見れて感謝の反応となる可能性が考えられる。

 英語文献のみの言語では感謝、感動、感銘と、学習環境が良好な言語よりも多くの反応が返ってきた。母国語で受け取る機会が少ないこともあり、多くの反応が得られたのではないだろうか。

 日本語および英語以外の文献しかない言語のグループは、翻訳ツールがない言語でもある。それにより驚きと喜びが大きかったと考えられる。

 

 

3.6 リアクション種類ごとにおける学習環境別リアクション率

 リアクションの種類ごとに、学習環境区分別に反応の割合を集計した結果を図9に示す。

 

図9 リアクション種類ごとにおける学習環境別リアクション率

 

 「喜び」および「驚き」の反応は、日本語文献も英語文献もない言語が圧倒的に高かった。学習しやすい言語でも、他の反応に比べて「感謝」や「感銘」の反応は、やや高めであった。

 どのリアクションも、学習しにくい言語ほど反応が得られた。

 

 

 

次の記事では、受取人の反応を時系列で集計します。

マラヤーラム語に関する資料

ストクロッシングで、マラヤーラム語話者にポストカードを送る機会はなかったが、ようやく引き当てることができた。

 

というわけで、インド南部で話されているマラヤーラム語に関する資料を紹介する。

 

Japanese Malayalam Dictionary

  マラヤーラム語文法概説(~p56)

  日本語・マラヤーラム語辞典(p57~p1152)

   文法概説には、例文も記載されいる。

 

 

日本語-マラヤーラム語辞書 - OpenTran

 

 

どちらも動詞は不定形で記載されている。

 

 

マラヤラム語文法 : 南インドケララ州の言語 | NDLサーチ | 国立国会図書館

 

ポストクロッシングに関する分析(7)~日本-インド間における地域別ポストカード到着状況

結局どうなのか簡潔に知りたい方は、目次の考察をクリックして要点だけどうぞ。

 

 

1. 日本ーインド間の送受信数

 本記事では、2023年4月から2025年3月までに私がインド宛に送ったポストカード60通のデータを用いる。3か月以上経過したポストカードを未着と定義した。

 今回使用したデータについて、オフィシャルとフォーラムごとに日本ーインド間のポストカード送受信数を集計した。その結果を図1に示す。

 

 

図1 日本とインド間における経由別ポストカード到着未着数


 インドから日本への発送は、フォーラムでは28通が到着し、未着はたった1通だった。オフィシャルでは1通到着で未着が0通だった。

 インドから日本宛は未着は少ない。日本からインド宛は、インドから日本宛より未着が多い。

 

2. 日本ーインド間における地域区分別ポストカード送受信数

 インド内務省によるインドの地域区分は、中央部、東部、西部、南部、北部、北東部の6地域に分かれる。図2に地域区分を示す。

 

図2 インド地域区分地図

※地図はフリー素材[1]を使用。以降も同様。

 

2.1 日本からインドへの地域別ポストカード送受信数


 日本からインドへ発送したポストカードの地域別送受信数を図3に示す。

 

図3 地域別日本からインドへのポストカード到着数と未着数

 

 サンプル数は少ないが、北東部への未着は0で、全てのポストカードが日本からインド北東部に到着している。南部への発送は12通到着に対し、未着は1通であり、ほとんどのポストカードが日本からインド南部に到着している。西部への発送は、到着8通に対し未着3通だった。半数弱のポストカードが紛失している。東部への発送は、到着が1通に対し未着が3通だった。未着の方が多かった。中央部と北部へポストカードを発送する機会はなかった。

 南部と北東部へは届きやすいが、西部へはやや届きにくく、東部に至っては到着より未着の方が多い。

 

2.2 インドから日本への地域別ポストカード送受信数

 インドから日本に発送されたポストカードの地域別到着数と未着数を図4に示す。

 

図4 地域別インドから日本へのポストカード到着数と未着数

 

 中央部、北東部および南部においては未着が0で、全てのポストカードが日本に届いていた。西部は到着11通に対し、未着がたった1通だった。東部は到着が2通で、未着が1通だった。

 インド東部における日本ーインド間のポストカードは、両方向共に未着の比率が高い傾向にあった。

 

2.3 各地域毎における送受信別ポストカード到着率

 各地域毎に、送受信別にポストカード到着率を集計した。その結果を図5に示す。

 

図5 各地域毎における送受信別ポストカード到着率

 

 中央部における日本からインドへの到着率は、サンプル数が0のため算出できなかった。北東部は送受信共に到着率100%だった。中央部におけるインドから日本への到着率は100%だった。南部も送受信共に90%以上の高い到着率であった。西部においては、日本からの発送の到着率は72.7%、インドから日本への発送は91.7%の到着率となっており、北東部、中央部および南部に比べて、やや到着率が低かった。一方、東部においては、インドから日本への発送は到着率66.7%と低く、日本からの発送は到着率25.0%と低かった。

 全地域において、インドからの発送よりも日本からの発送の方が到着率が低い傾向にあった。送受信共に西部における到着率はやや低く、東部においては他の地域に比べ到着率は特に低い傾向にあった。

 

3. 日本ーインド間における州別ポストカード送受信数

 インドには28つの州がある。今回は、そのうち8つの州、中央部のウッタル・プラデーシュ州、東部の西ベンガル州およびオリッサ州、西部のグジャラート州およびマハーラーシュトラ州、南部のタミル・ナードゥ州およびカルナータカ州、北東部のトリプラ州のデータを用いる。

図6 インド州区分地図

 

3.1 日本からインドへの州別ポストカード送受信数

 日本からインドへ発送したポストカードを州別に集計した。その結果を図7に示す。

 

図7 日本からインドへ発送したポストカードの州別到着数と未着数


 カルナータカ州においては到着が9通に対し未着0で、全てのポストカードが日本からカルナータカ州へ届いていた。サンプル数は少ないが、トリプラ州およびオリッサ州へも全てのポストカードが届いていた。タミルナッドゥ州およびマハーラーシュトラ州は1/3が未着であり、グジャラート州は半数が未着だった。一方、西ベンガル州においては、全てのポストカードが未着だった。この3通の未着は相手に届いていないことを確認している。

 

3.2 インドから日本への州別ポストカード送受信数

 インドから日本へ発送したポストカードの到着数と未着数を州別に集計した。その結果を図8に示す。

 

図8 インドから日本へ発送したポストカードの州別到着数と未着数

 

 カルナータカ州においては、到着が12通に対し未着が0通で全てのポストカードが日本へ届いていた。サンプル数は少ないが、ウッダル・プラデーシュ州、トリプラ州およびオリッサ州、グジャラート州およびタミル・ナッドゥ州からも全てのポストカードが届いていた。マハーラーシュトラ州からは9通届いており、未着は1通だけだった。一方、西ベンガル州においては、到着と未着がそれぞれ1通ずつだった。

 

3.3 各州毎における送受信別ポストカード到着率

 各州毎に、送受信別でポストカード到着率を集計した。その結果を図9に示す。

 

図9 各州毎における送受信別ポストカード到着率

 

 オリッサ州、トリプラ州およびカルナータカ州においては、送受信共に到着率が100%だった。日本からウッタル・プラデーシュ州への到着率は、サンプル数が0のため算出できなかったが、ウッタル・プラデーシュ州から日本への到着率は100%だった。日本からグジャラート州マハーラーシュトラ州およびタミル・ナードゥ州へのポストカード到着率は、やや低い傾向にあった。西ベンガル州ー日本間の到着率は、特に低い傾向にあった。

 

4. 日本ーインド間における市町村別ポストカード送受信数

 ポストカードの発送先および発送元の市町村毎に集計する。用いたデータの市町村の位置を図10に示す。

図10 ポストカードの発送元と発送先の市町村の位置

 

4.1 日本からインドへの市町村別ポストカード送受信数

 日本からインドへ発送したポストカードを市町村別に集計した。その結果を図11に示す。

 

図11 日本からインドへ発送したポストカードの市町村別到着数と未着数

 

 日本からバンガロールへの発送は、8通全てが到着しており未着がなかった。チェンナイ、ムンバイウドギル、アングル、ソナムラおよびマンガロールへの発送は、サンプル数は少ないものの全て到着しており、未着はなかった。ラージコート、プネーおよびコーヤンブットゥールへ発送したポストカードは、到着と未着の両方があった。一方、日本からコルタカへの発送は3通全てが未着で、到着したポストカードはなかった。

 

4.2 インドから日本への市町村別ポストカード送受信数

 インドから日本へ発送したポストカードを市町村別に集計した。その結果を図12に示す。

 

図12 インドから日本へ発送したポストカードの市町村別到着数と未着数

 

 バンガロールから日本へのポストカードの発送は、11通全てが到着しており、未着がなかった。プネーから日本への発送は4通全て到着、ムンバイからの発送も3通全て到着しており、どちらも未着はなかった。同様に、ソナムラ、ラージコート、アングル、マンガロール、コーヤンブットゥールおよびカーンプルからの発送も、サンプル数は少ないが全て到着しており、未着はなかった。ウドギルから日本への発送は、2通到着で1通未着だった。コルタカからの発送は、到着と未着がそれぞれ1通だった。

 バンガロール、ムンバイ、マンガロール、ソナムラ、アングルと日本間のポストカードは全て到着していた。

 

4.3 各市町村毎における送受信別ポストカード到着率

 各市町村毎に、送受信別にポストカード到着率を集計した。その結果を図13に示す。


図13 各市町村における送受信別ポストカード到着率

 

 コーヤンブットゥール、プネーおよびラージコートから日本への発送は到着率が100%だったが、日本から発送したポストカードの到着率は低い傾向にあった。全般的にインドから日本への発送の方が到着率は高い傾向にあるが、ウドギルについては、逆に日本からウドギルへの発送の方が到着率が高かった。また、特に際立って到着率が低い市町村は、コルカタだった。 

 チェンナイから日本への到着率および日本からカーンプルへの到着率は、サンプル数が0のため算出できなかった。

 

4.4 各市町村の人口毎における送受信別ポストカード到着率

 到着率の違いに人口は関係あるのかを調べるため、集計してみた。 

 Press Information Bureau Government of India Ministry of Housing & Urban Affairs[2]によれば、インドの国勢調査では、以下の区分で人口を分類している。

    Class-I   : population 1 lakh and above

            Class-II  : population 50,000 - 99,999

            Class-III : population 20,000 - 49.999

            Class-IV : population 10,000 - 19,999

            Class-V  : population   5,000 -   9,999

            Class-VI : population below 5,000

 この分類に従ってデータのある市町村を分類すると、データのほとんどの市町村がClass-Iに分類されてしまうため、今回はClass-Iをさらに区分した。市町村の人口区分毎に到着率を集計した結果を図14に示す。

 

図14 各市町村の人口区分における送受信別ポストカード到着率

 

 都市の規模による到着率の傾向は見出せなかった。

 

5. 考察 

 全般的に、日本からインドへの発送の方が、インドから日本への発送よりも到着率が低い傾向にあった。

 オリッサ州およびトリプラ州と日本の間の到着率は100%だったが、サンプル数が少なかったため、たまたまの可能性もある。しかし、カルナータカ州においては、サンプル数は送信9通、受信12通の計21通で、送受信共に到着率は100%であった。日本ーカルナータカ州間の郵便事情は良好であると考えられる。

 また、大都市である南部のチェンナイおよびバンガロールと日本の間、西部のムンバイー日本間の到着率は高く極めて良好だった。しかし、東部の大都市コルカタにおける到着率は、他の都市や地域と比べて低かった。

 インドからのポストカードが一旦日本国内に到着すれば、ほぼ100%自宅に配達される。そして、海を渡るまではポストカードの紛失はない。インドから日本へ発送したポストカードは行方不明になりにくいが、日本(もしくは海外)からインドに到着したポストカードは行方不明になることが多々あるという結果になった。したがって、インドは国外への発送における郵便事情は比較的良好であるが、個々の家への配達については、一部の地域や都市ではあまり良好ではない傾向にあると考えられる。

 

 

6. 参考文献

[1] Map of India regions: political and state map of India

[2] Categorisation of Cities

 

<過去のポストクロッシングに関する集計や分析の記事>

ポストクロッシングの国別登録数および活動状況(1) ~基礎集計 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(2) ~平均発送数と登録者割合の関係 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(3)~インターネット環境および国民総生産との関係 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(4) ~ポスクロにおける日本の位置づけ - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(5)~ポストカード到着率 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングに関する分析(6)~アメリカ宛ポストカードの未着状況とその要因 - 言語マニア系ポストクロッサー

 

 

ポストクロッシングに関する分析(6)~アメリカ宛ポストカードの未着状況とその要因

 

1. はじめに

 ポストクロッシングというポストカードを送りあうオンラインサービスがある。コンピューターによってランダムで抽出された会員にポストカードを送ると、ランダムで引いた世界のどこかの別の会員からポストカードが送られてくるシステムである。

 本記事では、日本からアメリカへ発送するポストカードの到着と未着の状況を集計し、分析によってポストカードが未着となる要因を探ることにする。

 

 

2. アメリカのポストカードについて

2.1 アメリカから発送されたポストカードのバーコード

 アメリカから送られてきたポストカードは、下部にバーコードが印字されてくる。ポストカードに予めそのための空白が設けられている。

図1 アメリカから来たポストカード

 

図2 ポストカードのバーコード用に確保されている空白

 

ほとんどのバーコードは、ハガキに直接印字されている。しかし、時には印字されたシールが貼りつけられていることもある。このシールはきれいに剥がれるため、ハガキに損傷はない。

図3 バーコード印字のシールが貼られたポストカード

 

マスキングテープの上に印字されたバーコードもある。

図4 マスキングテープの上から印字されたバーコード

 

 

2.2 アメリカへ発送したポストカード

 今回は私がアメリカに発送したポストカードのデータを使う。

 最近は、下部にバーコード用の空白を残している。字は上手くはないが、配達を困難にするほどではない。

図5 バーコード用の空白があるポストカードの例

最初の頃は、図6および図7のようにバーコードの位置にシールを貼ってしまっていた。

図6 バーコードの位置にシールを貼ったポストカードの例

 

図7 バーコードの位置にシールを貼ったポストカードの例

 

シール以外にも、マスキングテープも貼っていた。図8は、マスキングテープとシールの両方を貼っている。

図8 マスキングテープとシールを貼ったポストカードの例

 

 これらのように、バーコードの位置に空白があるもの、シールを貼ったもの、マスキングテープを貼ったもの、その両方を貼ったもの、文字(メッセージ)を書き込んだもの、様々なパターンのポストカードを送っている。

 

 

3. 基礎集計

3.1 アメリカ宛ポストカード到着数と未着数

 本記事では、2023年4月から2025年3月までに私がアメリカ宛に送ったポストカードのデータを使う。今回使用したデータについて、オフィシャルおよびフォーラム経由でアメリカへ発送したポストカードの到着数と未着数を集計した。その結果を図9に示す。

図9 アメリカに発送した経由別ポストカード到着数と未着数

 

 オフィシャル経由のポストカードの未着は1通である。このポストカードは下部にマスキングテープを貼っていた。

 フォーラム経由で送ったポストカードは、15通中8通が未着であった。半数近くである。但し、オフィシャルとは違い、フォーラムでは到着の連絡は必須ではないため、未着の中に実際には到着しているハガキが含まれている可能性が高い。オフィシャルの到着率が高いことを考慮すると、フォーラムの未着の多くは実際には到着している可能性も考えられなくはない。

 

3.2 バーコードスペース有無別ポストカード未着到着数と割合

 バーコードのためのスペース有無別でポストカード到着数と未着数を集計した結果を図10に示す。また、スペース有無別の到着と未着の割合を図11に示す。

 

図10 バーコードのスペースの有無別ポストカード到着数と未着数

 

図11 バーコードのスペースの有無別ポストカード到着率と未着率

 

 バーコードが印字されるだろう部分を空けたポストカードは、到着率92.3%でほとんどのポストカードが到着している。一方、空けなかったポストカードは、到着4通に対して未着が6通だった。60%が未着である。3.1の図9より、フォーラム経由の未着は8通である。受け取りの連絡がないのではなく、実際に相手に届いていない疑惑が浮かび上がってくる。

 

3.3 バーコードスペース有無別未着到着数~オフィシャルとフォーラム比較

 オフィシャルとフォーラムにおけるバーコードスペース有無別でポストカード到着数と未着数を集計した。その結果を図12に示す。

 

図12 バーコードスペースの有無別到着未着数(オフィシャルとフォーラムで比較)

 

 フォーラム経由のポストカードは、バーコードスペースがあったポストカードの未着が3通、スペースを空けなかったポストカードの未着が5通だった。一方、オフィシャル経由では、スペースを空けたポストカードは全て届いている。

 オフィシャルの結果を元に、バーコードスペースを設けたポストカードが極めて高確率で届くと仮定すれば、フォーラムの未着8通のうち3通は、受け取りの連絡なしと推測できなくはないだろう。

 

3.4 宛名表記別ポストカード未着数と到着数

 オフィシャルとフォーラム毎に、手書きの宛名と印刷した宛名で比較した。それらのポストカード到着数と未着数を集計した結果を図13に示す。

 

図13 宛名表記別到着未着数(オフィシャルとフォーラムで比較)

 

 印刷した宛名で送ったポストカードの未着はフォーラム経由1通だった。手書きの宛名で送ったポストカードは、フォーラムでは到着12通に対し、未着は7通であった。オフィシャル経由の未着1通は手書き宛名だった。印刷した宛名は高確率で到着している。

 

 

4. ロジスティック回帰分析

4.1 目的

 アメリカ宛に発送したポストカードは、バーコード部分に空白がないポストカードや手書きの宛名のポストカードの未着が多かった。空白がないポストカードには、マスキングテープ、シール、書き込みのいずれかがあったもの、またはそれらが複数あったものがある。どのような条件下だと未着が発生するのか。未着が起こりやすい要因を推定することを目的とする。

 

4.2 方法

 アメリカ宛に発送した52通のデータを使用し、未着が起こりやすい要因を特定するために、ロジスティック回帰分析を用いた。ロジスティック回帰分析は、「到着する」か「到着しない(未着)」といった二値変数の結果の要因を予測する分析手法である。要因となる変数を説明変数、結果の変数を目的変数と言う。目的変数を「未着1」、「到着0」とし、説明変数をマスキングテープ、シール、(バーコード部分への)書き込み、宛名手書きとした。宛名を印刷したポストカードの未着はなかったため、説明変数から宛名印刷を除外した。

 説明変数間に強い相関があると、分析を実行する上で問題が生じる。そのため、強い相関がある変数を除いて分析を実行しなければならない。各説明変数間の相関だけでなく、ひとつの説明変数と残りの全部の変数の間の相関も調べることができる分散拡大要因と呼ばれる指標で確認した。

 得られた分析結果から、未着が起こる要因となる説明変数を特定した。

 

4.3 結果

4.3.1 基礎集計

 用いたデータの内訳を表1に示す。

表1 アメリカに発送したポストカードの発送数とその内訳

 

 発送数52通のうち、未着が9通で手書きの宛名が38通である。バーコード部分に空白を設けなかった10通のうち、マスキングテープが6通、シールが8通、書き込みが8通である。

 

4.3.2 多重共線性の確認

 説明変数における多重共線性の指標であるVIF(分散拡大要因)の計算結果を表2に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表2 VIF(分散拡大要因)の計算結果

----------------------------------------------------------------
マスキングテープ シール 書き込み 宛名手書き
----------------------------------------------------------------    1.831955 2.686244 1.795339 1.197285
----------------------------------------------------------------

 

 表2の通り、全ての説明変数が10以下で、強い相関のある変数はなかった。したがって、分析を実行する際に削除する必要がある説明変数はなく、最初に設定した全ての説明変数を用いて実行した。

 

4.3.3 ロジスティック回帰分析実行結果

 ロジスティック回帰分析の実行結果を表3に示す。

(※スマホを縦にすると表が崩れます)

 

表3 ロジスティック回帰分析実行結果

-------------------------------------------------------
Coefficients 係数: Estimate Std. Error z value Pr(>|z|)
          推定値   標準誤差  Z値    P値
------------------------------------------------------- (Intercept)定数項 -2.5649 1.0377 -2.472 0.0134 * マスキングテープ  3.3829 1.7588 1.923 0.0544 . シール -0.1037 1.7356 -0.060 0.9523 書き込み 2.0357 1.4827 1.373 0.1697 宛名手書き -0.1565 1.2896 -0.121 0.9034
-------------------------------------------------------

 

 P値は、目的変数に影響を与えているかを判断するための指標である。一般的に、P値が0.05より小さい場合は統計的に差があると言える。マスキングテープのP値の小数第3位を四捨五入すれば0.05となり、マスキングテープが統計的に差がある変数となった。

 

 各説明変数とオッズ比と対応する信頼区間の計算結果を表4に示す。また、表4のグラフを図14に示す。

 

表4 オッズ比推定値

変数名 調整オッズ比 信頼区間下限 信頼区間上限
(Intercept) 0.077 0.07692308 0.004234138  
マスキングテープ 29.455 29.45465851 1.719190402  
シール 0.901 0.90147919 0.015399472  
書き込み 7.658 7.65761740 0.451443637  
宛名手書き 0.855 0.85514029 0.070264192  

 

 

図14 説明変数のオッズ比と対応する信頼区間

 

 オッズ比から、説明変数がどの程度目的変数に影響を与えるかがわかる。オッズとは、ある事象が起こる確率と起こらない確率の比である。また、オッズ比は、未着が発生するオッズが、特定の条件を持つ群と持たない群でどの程度異なるかをあらわす指標である。さらに、95%信頼区間とは、集団から無作為にひとつ選んだ時、95%の確率でその値になる区間のことである。95%信頼区間下限と95%信頼区間上限で信頼区間が1を跨がない場合に、統計的に有意な差があると言える。

 表4の計算結果では、1より大きいオッズ比はマスキングテープ、1より小さいオッズ比はシールと宛名手書きであった。

 図14では、信頼区間が1を跨がない変数が視覚的にわかりやすいように、オッズ比1の位置に赤線を入れた。赤線を跨いでいない変数が有意な差がある変数となる。

 

4.4 考察

 ロジスティック回帰分析を用いて、マスキングテープ、シール、バーコード部分への書き込み、手書きの宛名とポストカード未着の間の関係を分析した。p値によって有意な差が得られた説明変数は、マスキングテープであった。また、信頼区間によって有意な差が得られた説明変数は、マスキングテープ、シールおよび宛名手書きであった。したがって、p値、信頼区間、共に有意な差が得られた説明変数は、マスキングテープとなる。

 オッズ比が1より大きい場合は事象に対して促進方向に作用し事象が起こりやすく、1より小さい場合は抑制方向に作用し事象が起こりにくくなる。つまり、オッズ比が1より大きかったマスキングテープは未着が起こりやすい変数となる。

 これらのことから、バーコード印字部分にマスキングテープを貼ると、未着が起こりやすい傾向があることがわかった。

 

4.5 最後に

 アメリカ宛のポストカードでは、バーコードが印字される部分にマスキングテープを貼ると未着が起こりやすい傾向があることがわかった。マスキングテープが貼られていても到着することはある。しかし、マスキングテープを貼らない方が到着率が上がると言えよう。

 

 わざわざ分析などしなくても、経験上マスキングテープを貼っていると期限切れになることが多いとわかっているポストクロッサーはいるだろうと思う。かくゆう私も、今思い返せば、マスキングテープを購入して使い始めてからアメリカ宛の未着が増えてきた。

 

 次回はインドについて集計した結果を記事にする。

ポストクロッシングに関する分析(7)~日本-インド間における地域別ポストカード到着状況 - 言語マニア系ポストクロッサー

 

<過去のポストクロッシングに関する集計や分析の記事>

ポストクロッシングの国別登録数および活動状況(1) ~基礎集計 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(2) ~平均発送数と登録者割合の関係 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(3)~インターネット環境および国民総生産との関係 - 言語マニア系ポストクロッサー

ポストクロッシングにおける国別活動状況(4) ~ポスクロにおける日本の位置づけ - 言語マニア系ポストクロッサー

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