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スイスドイツ語アールガウ方言

ストクロッシングでスイスのアールガウ州在住の人を引いた。

書き言葉が標準ドイツ語であることは十分承知しているが、話し言葉の方言も確認したくなった。

 

スイスの公用語のひとつにドイツ語がある。

スイスで話されているドイツ語をスイスドイツ語と呼ぶが、スイスドイツ語という言語があるわけではない。

スイスにおけるドイツ語には多くの方言がある。その方言全体を指すことに使われているらしい。

 

 

アールガウ方言とは

アールガウ州における方言はアールガウ方言(英語: Aargau dialect, Aargauer dialect、独語:Aargauerdütsch)と呼ばれ、アールガウ方言話者はアールガウアー(Aargauer)を呼ばれる[1]。

 

アールガウ方言は、他のスイス方言と違い、他のスイス方言話者にも理解できる方言とのこと。

 

スイスでは、一部のスイスドイツ語方言の話者がスイスドイツ語の他の方言話者に対して否定的な態度をとっている証拠があり、それが言語話者間の否定的なアイデンティティ構築に寄与している[1]。

また、Rohr(2016)の報告によれば、アールガウ方言話者は、自分たちの方言を肯定的に捉えているがアイデンティティ特性とは結びつけていない。そして、他の方言話者(Rohrの研究ではチューリヒ方言話者と比較している)に対してはアイデンティティ特性と結び付けいている。同様に、チューリヒ方言話者も、自分たちの方言を肯定的に捉え、アールガウ方言話者に対してはアイデンティティ特性があると考え、否定的に捉えていた。

アールガウ方言話者とチューリヒ方言話者は共に、自分たちの方言と対立する方言よりも自分たちの方言や特性を高く評価している[1]。

 

一方で、アールガウ方言は、好きなスイス方言ランキング1位にも輝いている[2]。

 

これらのことを踏まえると、スイスにおけるアールガウ方言の立ち位置は、オシャレでかっこいい方言の可能性もある。

 

 

 

アールガウ方言のオンライン辞書

アールガウ方言のフレーズや文法に関する資料は見つけられなかったが、オンライン辞書を見つけることができた。

Aargauer Wörterbuch(アールガウ方言辞書)

Wörterbuch (hunziker2020.ch)

 

例えば、英語のbe動詞にあたるドイツ語のseinを引くと、次のような結果が出る。

アールガウ方言辞書sein

上記の結果から、ドイツ語の動詞seinは、アールガウ方言ではsiになることがわかる。

また、人称代名詞は、一人称単数ichがi、二人称単数duがdeになることも読み取れる。

以下に、si(sein)(ある、いる)の現在形についてまとめてみた。

 

人称

スイスアールガウ方言

ドイツ語

 

原形

si

sein

単数

1人称

i bin

ich bin

2人称

de bist

du bist

3人称

er ist(*)

er/sie/es ist

複数

1人称

mr sind

wir sind

2人称

dr sind

ihr seid

3人称

si sind

Sie sind

* オンライン辞書にはerしか記載されていないが、sie/esもドイツ語と同様にsie/es istと推測される。

 

 

ストクロッシングで使えそうなスイスドイツ語アールガウ方言

ちまちまとオンライン辞書で単語を引いて調べ、標準ドイツ語をアールガウ方言ドイツ語に変換してみた。

スイスアールガウ方言

標準ドイツ語

英語

I bin ~.

Ich bin ~.

I am ~.

I heisse ~.

Ich heiβe~.

My name is ~.

I wone in ~.

Ich wohne in ~.

I live in ~.

 

参考文献

[1] Rohr, Jessica. The Swiss German language and identity: Stereotyping between the Aargau and the Zuerich dialects. Purdue University ProQuest Dissertations Publishing,  2016. 10248829.

The Swiss German language and identity: Stereotyping between the Aargau and the Zurich dialects (purdue.edu)

[2] Aargauer Dialekt klettert in die Top Ten | ArgoviaToday

 

 

引用の仕方が一定していない。このサイトは言語系の話題がメインなので、文系に統一した方がいいとは思っている。